マイコトキシン
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エストロゲン様カビ毒ゼアラレノンの作用機構
田代 文夫
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2000 年 50 巻 2 号 p. 105-110

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抄録
フザリウム属のカビによって産生されるゼアラレノン(ZEN)はステロイド骨格をもたないが,家畜特にブタに過エストゲン症を引き起こし,環境中のエストロゲン物質の一つと考えられている.私共は,今までにZENの作用機構を明らかにするために,エストロゲンレセプター(ER)との相互作用,ラット子宮のRNAポリメラーゼおよびタンパク質合成に対する作用を解析してきた.その結果,ZENおよびその誘導体は,17β-estradiol(E2)に比べて弱いがin vivoおよびin vitroにおいてERと結合することが明らかになった.結合能力は,α-zearalanol(α-ZAL)>α-zearalenol(α-ZEL)>β-ZAL>ZEN>β-ZELの順であった.ラット子宮のRNAポリメラーゼ活性に対しては,著しい促進効果が認められた.さらに,ZENおよびその誘導体であるα-ZALとα-ZELはin vivoとin vitroにおいて52 kDaの子宮特異的タンパク質を誘導することが明らかとなった.一方、本タンパク質の誘導は,RNAポリメラーゼの阻害剤であるα-amanitinやactinomycinDの存在下では完全に抑制された.これらの結果より,ZENおよびその誘導体とER複合体は,標的臓器において転写活性化因子として機能し得ることを示している.また,ZENが血液-脳関門を介して脳内に移行し,脳内ERと結合することより,エストロゲンのフィードバックに作用して卵巣や精巣の委縮を引き起こすと共に行動異常などにも関与している可能性がある.
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