抄録
衝撃管内を進行するAr衝撃波背後の電離緩和流に対するNaCl微量混入の影響に関して, 理論的研究を行った.電離緩和基礎式はAr-NaCl系の反応速度式と結合し, さらに衝撃管の壁境界層, 非マックスウェル電子エネルギー分布, およびNa原子共鳴線の自己吸収の影響を考慮して構成した.数値計算より得た主な結論は次のとおりである. (i) NaClの混入は電離緩和時間の短縮をもたらすが, その影響は低衝撃波マッハ数, 高p1d (p1 : 初期圧力, d : 管の直径) 領域で顕著となる. (ii) NaClの混入は, 特に緩和初期において電子温度の低下をもたらす.この影響は低マッハ数では緩和後半まで及ぶ. (iii) 自由電子のエネルギー分布関数は緩和領域で非マックスウェル分布である.