レイノルズ数850-1700の円柱後流を可視化して観察し, 速度変動測定による定量的結果と比較して, 乱れの秩序構造の形成について次の知見を得た.円柱の直径を
d, 主流方向の距離をxとする.
x/d≦10に存在する整ったカルマン渦は, 20≦
x/d≦30でほぼ渦軸方向の長さ8d程度でちぎれる.さらに下流で各々のちぎれた渦は湾曲し,
x/d≧90において, さじの先端を外側に向け後流中心面に対し30-60°の角度傾けて置いたような形の弧状の渦を形成する.この渦は, 90≦
x/d≦230で比較的安定して見られ, 後流中心面の両側に一対となるとともに, x方向に数個が連って出現する傾向がある.この領域の乱流域界面に見られる大規模な凹凸はこのさじ形渦に起因する.このような, 初期の規則的な渦の乱流中での配列替えは, 乱れの秩序構造の形成過程の1つの類型と考えられる.
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