日本内科学会雑誌
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II.自己免疫疾患
3.PN,Wegener肉芽腫症
吉田 雅治
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2011 年 100 巻 5 号 p. 1244-1253

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抄録

結節性多発動脈炎(PN)は高血圧を呈し,徐々に腎不全が進行することが多い.顕微鏡的多発血管炎およびWegener肉芽腫症のANCA関連血管炎を中心とする糸球体病変を認める腎血管炎は,動脈病変のみの腎血管炎よりも急速に末期腎不全に進行しやすい.ANCA関連血管炎のなかでも顕微鏡的多発血管炎,Wegener肉芽腫症は肺出血の有無および肺を中心とする難治性感染症の合併が生命予後を左右することが多い.腎血管炎に共通した治療は早期に診断し,疾患活動性の高い時期にステロイド治療,免疫抑制薬を中心とした強力な免疫抑制療法を病型・病期に応じて適切に行うことである.ANCA関連血管炎であるWegener肉芽腫症は,ANCA力価およびCRP値の経時的測定が免疫抑制療法の投与量の判断に参考になる.免疫抑制療法と並行して抗凝固,抗血小板療法を行う.腎不全が進行した場合(血清クレアチニン値>6mg/dl)は,早めに透析療法を開始する.寛解後の再発および感染症の予防対策を含めた長期経過観察による予後の改善が重要である.

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© 2011 一般社団法人 日本内科学会
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