日本内科学会雑誌
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III.診断と治療
6.骨髄線維症
竹中 克斗赤司 浩一
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2012 年 101 巻 7 号 p. 1969-1976

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抄録

原発性骨髄線維症(PMF)は,造血幹細胞レベルで生じたJAK2遺伝子変異などの遺伝子異常により骨髄中で巨核球と顆粒球系細胞がクローナルに増殖する難治性疾患で,骨髄増殖性腫瘍に分類される.分化した異常クローン由来の巨核球や単球などからの増殖因子・サイトカインの産生によって骨髄間質細胞の増殖を来たし,骨髄の広範な線維化,骨硬化を生じる.その結果,無効造血や,末梢血での涙滴状赤血球の出現,白赤芽球症,髄外造血による巨脾などの特徴的な臨床症状を呈する.PMFは難治性で,平均生存期間が5年程度とされる.現時点では,PMFは,薬物療法による治癒は困難であり,同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法である.移植非適応例では,造血のコントロール,合併症の予防,対症療法が主体であったが,2005年のJAK2V617F変異の発見以降,基本病態の解明が急速に進み,JAK2阻害薬などの分子標的薬の開発がすすめられている.

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© 2012 一般社団法人 日本内科学会
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