日本内科学会雑誌
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101 巻 , 7 号
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内科学会NEWS
目次
特集 骨髄不全症候群(特発性造血障害):診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.骨髄不全の病因と病態
  • 中尾 眞二
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1882-1890
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血(再不貧)は,汎血球減少と骨髄低形成を示す疾患群の中から,他の疾患を除外することによって診断される症候群であるため,病態は多様と考えられてきた.しかし最近では,対象を適切に絞れば,ほとんどが免疫病態によって発症する(免疫抑制療法によって改善する)骨髄不全であることが明らかになりつつある.また,最近の解析結果から,再不貧の発病の初期には細胞傷害性T細胞による造血幹細胞の攻撃が起こっているが,その後の骨髄抑制を引き起こしているのは,細胞傷害性T細胞ではなく,何らかの造血抑制性サイトカインと考えられる.
  • 川口 辰哉
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1891-1897
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は,PIGA変異と,その表現形質であるGPIアンカー膜蛋白欠損が分子病態の基盤をなす.PIGA変異は造血幹細胞レベルで発生し,補体感受性が亢進した変異血球がクローン性に拡大することで溶血や血栓症などPNH特有の病態を形成する.近年,補体阻害薬の導入により,補体介在性の病態理解が深まった.しかし,PNH発症の鍵を握るとされる造血不全病態は未だ謎が多い.
  • 三谷 絹子
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1898-1905
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群は,無効造血と白血病化を特徴とする疾患である.病初期には,微小環境あるいは免疫監視機構の変化を背景として異常幹細胞が出現する.やがてこの異常幹細胞は,無効造血・白血病化の原因となる様々な遺伝子変異を蓄積する.骨髄異形成症候群で観察される遺伝子変異は,分化,増殖あるいは生存の調節機構を直接的に破綻させるものもあるが,遺伝子の転写・蛋白の翻訳/分解等の生命現象の根幹を揺るがすものが多い.
  • 北中 明, 下田 和哉
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1906-1912
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    原発性骨髄線維症と,二次性骨髄線維症の原因となる真性多血症,本態性血小板血症の3疾患は,複数系統の血球増加,脾腫,髄外造血などの共通した臨床像を呈し,骨髄増殖性腫瘍に分類される.造血幹細胞の自己複製能を亢進させるTET2EZH2変異と,サイトカイン非依存性の造血細胞の自律増殖を促すJAK2MPLC-CBL変異などが協調して発症する.一方,骨髄の線維化,骨硬化は骨髄間質細胞の反応性の変化であり,クローナルに増殖した造血細胞が産生するTGF-βが骨髄の線維化に,線維芽細胞から産生されるOPGが骨硬化に関与している.
II.診断へのアプローチ
III.診断と治療
  • 寺村 正尚
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1928-1936
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    2011年,わが国における再生不良性貧血の診断基準が改定された.血球減少の基準が汎血球減少症から少なくとも2系統の血球減少に変更されたのが大きな変更点である.本症に対する免疫抑制療法として現在使用されているウサギ抗胸腺細胞グロブリン(ATG)はウマATGより有効性が低いという前方視的試験の結果が米国から報告された.ウサギATG投与後のEBウイルス(EBV)関連リンパ増殖性疾患発症が報告され,EBVのモニタリングが推奨される.
  • 廣川 誠, 澤田 賢一
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1937-1944
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    赤芽球癆は正球性正色素性貧血と網赤血球の著減および骨髄赤芽球の著減を特徴とする難治性貧血である.赤芽球癆の病因は多様で,先天性と後天性の病型があり,後天性はその発症様式から急性型と慢性型に分類される.後天性慢性赤芽球癆には特発性と,胸腺腫あるいは大顆粒リンパ球白血病などに伴う続発性赤芽球癆がある.赤芽球癆の治療は病因によって異なり,基礎疾患の治療に反応しない慢性赤芽球癆に対して免疫抑制療法が行われる.
  • 市川 幹, 黒川 峰夫
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1945-1952
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群は高齢者に多い造血幹細胞疾患であり,従来有効な治療がなく予後は不良であった.近年,疾患の予後予測が進歩するとともに,この疾患に対して初めて予後の改善に有効な新規薬剤が登場し,支持療法の進歩ともあわせ,治療指針が劇的に変革されようとしている.ここでは,骨髄異形成症候群の最新の診断指針,予後予測システムと予後を改善する新たな治療指針について概説する.
  • 西村 純一, 金倉 譲
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1953-1959
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)は,補体介在性の血管内溶血とそれに伴うヘモグロビン尿,血栓症,骨髄不全を3大症状とする.PNHの診断には,1%以上のPNH型赤血球を証明し,かつ溶血所見を認めることが重要である.PNHの溶血に対する治療薬としてヒト化抗C5単クローン抗体であるエクリズマブが開発され,顕著な溶血抑制効果が示された.エクリズマブは溶血のみならずPNHの多くの症状を改善し,患者の生活は一変した.
  • 亀崎 豊実, 梶井 英治
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1960-1968
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    昨年改訂された「自己免疫性溶血性貧血(AIHA)診療の参照ガイド」に沿って,AIHAの診療全般について概説した.AIHAの1割にCoombs試験陰性例があり,診断に苦慮する場合は赤血球結合IgG定量が有用である.従来のステロイドを中心とした治療法に不応な症例に対して,抗体療法が注目されてきている.
  • 竹中 克斗, 赤司 浩一
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1969-1976
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    原発性骨髄線維症(PMF)は,造血幹細胞レベルで生じたJAK2遺伝子変異などの遺伝子異常により骨髄中で巨核球と顆粒球系細胞がクローナルに増殖する難治性疾患で,骨髄増殖性腫瘍に分類される.分化した異常クローン由来の巨核球や単球などからの増殖因子・サイトカインの産生によって骨髄間質細胞の増殖を来たし,骨髄の広範な線維化,骨硬化を生じる.その結果,無効造血や,末梢血での涙滴状赤血球の出現,白赤芽球症,髄外造血による巨脾などの特徴的な臨床症状を呈する.PMFは難治性で,平均生存期間が5年程度とされる.現時点では,PMFは,薬物療法による治癒は困難であり,同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療法である.移植非適応例では,造血のコントロール,合併症の予防,対症療法が主体であったが,2005年のJAK2V617F変異の発見以降,基本病態の解明が急速に進み,JAK2阻害薬などの分子標的薬の開発がすすめられている.
  • 小島 勢二, 矢部 みはる
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1977-1985
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    先天性骨髄不全症候群は,造血細胞の分化,増殖が先天的に障害され,血球減少をきたす疾患の総称で,Fanconi貧血のように汎血球減少を呈する疾患から,Diamond-Blackfan貧血のように単一系統の血球の減少をきたす疾患までを含む.特徴的な外表奇形がみられることから,従来は臨床診断がおこなわれてきたが,分子生物学の進歩により責任遺伝子の発見が続き,多くの疾患において,遺伝子診断も可能となっている.
  • 鈴木 隆浩, 小澤 敬也
    2012 年 101 巻 7 号 p. 1986-1993
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    骨髄異形成症候群(MDS)などの難治性貧血では頻回の輸血が必要になり,鉄過剰症をきたすことが多い.過剰鉄は活性酸素種の産生を介して臓器障害を引き起こすとされ,特に低リスクMDSでは予後に悪影響を与えることが示唆されている.輸血後鉄過剰症では鉄キレート剤による治療が行われるが,有効な鉄キレート療法は単なる臓器障害の改善にとどまらず,低リスクMDS患者において生存期間を延長することが分かってきた.そして興味深いことに,鉄キレート剤の投与後に血球数の改善が認められる症例があることも分かり,最近注目を集めている.本稿では輸血後鉄過剰症についてその病態と治療効果について概説する.
IV.造血に関する最新の話題
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 藤田 みさお, 赤林 朗
    2012 年 101 巻 7 号 p. 2059-2064
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    同じ医学的事実を共有していたとしても,それを捉える価値観が異なれば,医療従事者や患者・家族の間で治療上の判断が分かれる事態も起こり得る.臨床における倫理問題とは,こうした価値観の対立から生じる治療決定上の問題のことである.当事者間で問題が解決できない場合の方法として,学際的な委員からなる臨床倫理委員会による倫理コンサルテーションが注目されている.こうした体制は国内外で広く普及しつつあり,医療現場でのニーズも高いことが報告されている.ただし,臨床倫理委員会による倫理コンサルテーションを行えば,臨床で生じる問題のすべてが解決されるわけではない.臨床場面での治療決定は患者・家族の人生や生死に関わることさえあり,判断基準は常に明確とは限らず,唯一絶対の正答があるわけでもない.臨床倫理委員会の委員やコンサルタントが,的確に問題に取り組み当事者らを支援できるよう,臨床倫理に関する教育機会を充実させることや,委員・コンサルタント間のネットワークを構築することが今後の課題である.
  • 野元 正弘
    2012 年 101 巻 7 号 p. 2065-2071
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    Parkinson病の診断は運動症状の組み合わせが基本であるが,痛み,うつなどの非運動症状への対応が注目されている.補助診断として心筋シンチグラムによる取り込み低下が採用された.多くの治療薬が開発されQOLや生命予後も改善しており,現在levodopaの効果が短いために生じるウェアリングオフに対する治療薬が開発されている.今後の治療として神経細胞の変性を抑制する治療が研究開発の目標となっている.
  • 藤村 政樹
    2012 年 101 巻 7 号 p. 2072-2077
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/10
    ジャーナル フリー
    慢性咳嗽とは,「問診,身体所見,胸部単純X線写真やスパイログラフィーなどの一般検査では原因を特定できない8週間以上持続する咳嗽が唯一の症状であるもの」と定義する.本邦における慢性咳嗽の三大原因疾患は,咳喘息(乾性咳嗽),アトピー咳嗽(乾性咳嗽)および副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)であり,この順に頻度が高い.咳喘息とアトピー咳嗽の病態解明は主に本邦において進められ,治療的診断から病態的診断への過渡期に差し掛かっている.乾性咳嗽の発生機序には,少なくとも以下の二つがある.一つは気管支壁表層に存在する咳受容体の感受性亢進によるものであり,アトピー咳嗽,胃食道逆流による咳嗽,アンジオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽などが該当する.もう一つは気管支壁深層に存在する気管支平滑筋の収縮がトリガーとなるものであり,咳喘息や気管支喘息の咳嗽が該当する.咳嗽は自然軽快や治療抵抗性の場合があり,治療的診断は誤診を招くため,病態的診断への脱却が不可欠である.
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