日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
腎疾患とEPO産生細胞
中田 紘介柳田 素子
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 103 巻 1 号 p. 160-165

詳細
抄録

造血に必須のホルモンであるエリスロポエチン(EPO)は腎機能の低下とともに産生量が不十分となり,腎性貧血を引き起こす.EPOを産生する細胞は腎臓の尿細管間質に分布している.このEPO産生細胞と尿細管間質の線維芽細胞はいずれも神経堤由来細胞であり,またいずれも線維化を起こすαSMA陽性myofibroblastに形質転換することがわかった.そしてmyofibroblastに形質転換しEPO産生能を一旦失ったEPO産生細胞でもEPO産生能回復の可能性を見出した.現在EPO産生能を刺激し回復させる方法として,HIF分解に関わるPHDを阻害する薬や,神経保護に関わる薬剤などがあり,線維化の改善も含め効果が期待されている.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top