日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S4-1
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シンポジウム 4
ヒトiPS細胞技術を活用した抗がん剤の心毒性評価法の開発
*諫田 泰成
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抄録

 ヒトiPS細胞技術は、再生医療の実現のみならず医薬品の開発ストラテジーにも大きな改革をもたらしており、国内外で精力的に取り組みがなされている。医薬品の安全性評価に関しては、内閣府「健康・医療戦略」にiPS細胞技術による医薬品の心毒性評価が盛り込まれ、2020年ごろの達成目標とされている。我々はこれまで産官学で催不整脈作用に関する標準的な薬理プロトコルを整備して、バリデーション研究を行うことにより標準化を推進し、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を利用した評価法を開発してきた。またFDAを中心に組織された国際コンソーシアムCiPAにおいても国際検証試験が実施されて、日本からもデータを提供し、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を利用した評価法の再現性や有用性が明らかになった。このような取り組みを背景に、ICHにおいてiPS心筋細胞の試験法等を用いた新しいアプローチの利用可能性を検討することとなり、議論が開始された。

 現在、さらなるiPS細胞技術の利用法を目指して「Beyond CiPA」の動きが盛んである。中でも、Cardio Oncology分野の重要性が認識されたことを契機に、抗がん剤などの心毒性評価法がクローズアップされており、我々もイメージング技術を基にしてインビトロで心収縮障害を予測する方法の開発を進めている。

 そこで本シンポジウムでは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた新たな心毒性評価法を紹介し、今後の国際動向についてもあわせて議論したい。

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