日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
脳髄膜炎の遺伝子診断
大原 義朗森田 昭彦
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2014 年 103 巻 8 号 p. 1942-1947

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抄録
中枢神経系感染症領域における病原微生物に関する遺伝子検査は,(1)病原体遺伝子の同定と定量,(2)細菌やウイルスの種や株の同定,(3)薬剤耐性を有する特殊菌株の同定の3つに分けられる.PCRなどの核酸増幅法による病原体遺伝子の検出は,迅速かつ検出感度や特異度に優れ,ヒトに感染症をおこすほとんどすべての病原体を検出することができる.単純ヘルペス脳炎ではPCRによる髄液からのHSV-DNAの検出が標準的な検査法として確立しているが,高感度のPCR(real-time PCRやnested PCR)を用いることが重要である.細菌性髄膜炎では複数の想定される起炎菌を一度に検索することを目的としたmultiplex real-time PCR法や細菌に共通の16SリボソームRNAの可変領域を増幅するbroad-range PCR法による病原体の検索技術の臨床応用が病因確定診断に貢献している.
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© 2014 一般社団法人 日本内科学会
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