日本内科学会雑誌
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V.腸内細菌:多彩な内科領域におけるトピックス
①腸内細菌は動脈硬化症に関連するか?
山科 章
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2015 年 104 巻 1 号 p. 66-70

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抄録

腸内細菌の遺伝的構成(メタゲノム)がわかるようになり,腸内細菌と各種疾患・病態との関連に関する研究が急速に進歩した.経口摂取されたものが腸内細菌により代謝され,最終的に動脈硬化惹起物質が産生されることもわかってきた.腸内細菌叢には型(エンテロタイプ)があり,エンテロタイプは食習慣の影響を受け,エンテロタイプによって動脈硬化惹起物質の産生量が異なることもわかっている.また,アテローム性動脈硬化症のある患者の腸内細菌では,抗酸化物質を産生する遺伝子が少なく,血中抗酸化物質濃度が低いことも判明している.腸内細菌を介した抗動脈硬化治療も始まっており,腸内細菌と動脈硬化の関連はホットトピックスとなっている.

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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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