2016 年 105 巻 5 号 p. 905-910
サルコイドーシス(以下,サ症)の日本での発症率は人口10万対1.01で,女性に多い傾向がある.かつては健診で胸部X線異常を指摘されて発見されることが多かったが,現在では有症状で見つかることが多く,中でも眼症状(霧視,視力低下など)が多い.サ症は全身性の疾患でどの臓器にも出現し得るが,肺への罹患が最も多い.発症の原因は不明とされてきたが,最近までの研究でPropionibacterium acnes (P. acnes)が有力な候補の1つと考えられている.P. acnesは常在菌であるため,発症には宿主側のP. acnesに対する過剰な免疫応答が関与していると考えられる.診断の原則は組織学的に非乾酪性肉芽腫を証明し,かつ他の肉芽腫性疾患を除外することであるが,2015年の「難病患者に対する医療等に関する法律」(難病法)の改正で一部診断基準に変更があった.治療の第一選択薬はグルココルチコイドである.しかし,サ症は自然治癒することが多いので,治療導入の決定には慎重を要する.