2019 年 108 巻 2 号 p. 247-252
心房細動患者の左房内血栓の約9割は左心耳に発生する.標準的予防医療は抗凝固療法であるが,欧米では左心耳を閉塞・切除し,抗凝固を回避する複数のストラテジーが急速に広まっている.大規模RCT(randomized controlled trial)において,経カテーテル閉鎖術がワルファリン治療に比べ,総死亡,出血事故ならびに大きな後遺症の残る脳梗塞の発生を優位に低下させることが証明された.他方,外科的切除術の低侵襲化も進み,共に出血高リスク患者への応用が期待されている.