2022 年 111 巻 1 号 p. 9-14
わが国の肝硬変はB,C型のウイルス性が減少する一方で,脂肪性肝疾患による症例が増加している.肝炎ウイルスの制御が可能になり,ウイルス性では肝機能を改善させることが可能になった.しかし,脂肪性の多くは肝不全が徐々に進行するchronic decompensationを呈する.また,脂肪性のうちアルコール性では,大量飲酒を契機に肝不全が急速に進展する場合がある.そこで厚生労働省研究班はacute-on-chronic liver failure(ACLF)の診断基準(案)を2018年に発表し,これに基づいて全国調査を実施している.