2023 年 112 巻 11 号 p. 2115-2121
89歳,男性.未治療の肺癌あり.脱力,意識障害で受診,低ナトリウム血症を認めた.細胞外液量は低下し,尿ナトリウム排泄が亢進していた.血清ナトリウム補正後も意識障害が遷延した.髄液検査で異型細胞を認め,癌性髄膜炎に伴う中枢性塩喪失症候群(cerebral salt wasting syndrome:CSWS)と診断した.髄膜炎は重篤だが見逃されることが多い.髄膜炎はCSWSの原因になり得るので,血清ナトリウム補正後も意識障害が遷延する場合は,髄液検査を検討するべきである.