日本内科学会雑誌
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今月の症例
癌性髄膜炎に伴う中枢性塩喪失症候群の1例
上野 珠美山岸 浩史関 隆実大島 淳今井 泰平
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2023 年 112 巻 11 号 p. 2115-2121

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抄録

89歳,男性.未治療の肺癌あり.脱力,意識障害で受診,低ナトリウム血症を認めた.細胞外液量は低下し,尿ナトリウム排泄が亢進していた.血清ナトリウム補正後も意識障害が遷延した.髄液検査で異型細胞を認め,癌性髄膜炎に伴う中枢性塩喪失症候群(cerebral salt wasting syndrome:CSWS)と診断した.髄膜炎は重篤だが見逃されることが多い.髄膜炎はCSWSの原因になり得るので,血清ナトリウム補正後も意識障害が遷延する場合は,髄液検査を検討するべきである.

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