日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
クッシング症候群とサブクリニカルクッシング症候群
柴田 洋孝
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キーワード: コルチゾール, ACTH
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2023 年 112 巻 11 号 p. 2129-2135

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抄録

クッシング症候群は,体内に糖質コルチコイドが慢性的に過剰な時に起こる疾患である.外因性の糖質コルチコイド治療により生じることは多く,問診により除外する.内因性に副腎からコルチゾールの過剰分泌によっても生じる.糖質コルチコイドの過剰作用により,皮下出血,野牛肩,皮膚の菲薄化,赤色皮膚線条などのクッシング徴候を呈する時に疑われる.スクリーニング検査は,24時間尿中遊離コルチゾール高値,夜間血清コルチゾール高値(≧5 μg/dl),1 mgデキサメタゾン抑制試験による血清コルチゾール≧5 μg/dlのうち2つ以上で陽性と判定する.病型診断は,血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)濃度が測定感度以下であればACTH非依存性(副腎性),ACTH濃度が測定可能(正常~高値)であればACTH依存性クッシング症候群であり,下垂体性クッシング病と異所性ACTH症候群の鑑別を行う.治療は原則として原発巣の摘出術が第一選択であり,手術不能例や転移例には薬物治療を行う.

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