2024 年 113 巻 2 号 p. 283-290
わが国では長年HbA1cに加えてインスリン療法中の患者を中心に血糖自己測定(Self-Monitoring of Blood Glucose:SMBG)による糖尿病の自己管理が行われてきた.しかし,HbA1cは過去の平均血糖値の指標であること,SMBGでは血糖の日内変動を点でしか評価できないことから,血糖変動を意識した血糖管理を行うには限界があった.そのような中,わが国では2009年に皮下間質液中のグルコース値(センサーグルコース値)を持続的に測定できる連続皮下ブドウ糖濃度測定器(continuous glucose monitoring:CGM)が実用化され,血糖変動を線で把握し,より正確に評価することが可能になった.近年はCGMのデータを活用したTime in rangeの概念が普及しつつあり,血糖変動を加味した血糖コントロール状況の評価も容易になった.また,リアルタイムCGMの開発に伴い高/低センサーグルコースアラート機能やその予測アラート機能,さらには低血糖前一時停止機能つきインスリンポンプなども登場し,より血糖変動の少ない安全かつ厳格な血糖管理を目指せるようになった.