日本内科学会雑誌
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II.炎症性腸疾患の病理・病態生理
1.腸管免疫抑制機構の破綻による炎症性腸疾患の発症
金井 隆典久松 理一渡辺 守日比 紀文
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2009 年 98 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

消化管は口腔から肛門まで約4メートルの長さがあり,粘膜表面上に分布する絨毛を広げるとテニスコート1.5面分の面積を有するといわれる巨大な臓器である.とりわけ,大腸・小腸が外界と接する面積は膨大で,しかもたった一層の円柱上皮細胞を隔てて大量の腸内細菌と共生している.にもかかわらず,健常生体は炎症惹起を恒常的に抑制し,免疫寛容状態を維持している.一方,ひとたび細菌性腸炎にみるように病原性細菌等が出現すると生体は瞬時に免疫系の活性化し,感染防御へと免疫系システムを大転換する.さらに,近年,急速に増加している炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease;IBD)はおそらく非病原性の腸内細菌に対して反応し,腸管免疫系の活性化に伴い発症する.すなわち,腸内細菌に対する免疫寛容状態の破綻と捉えることができる.この鍵を握るものとして,腸管特異的に免疫恒常性維持機構に関与する抑制性の免疫細胞が着目されている.本稿では,密接に関係する腸管免疫寛容とIBD発症との関連を近年明らかとされてきた腸管免疫細胞を中心に概説する.

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© 2009 一般社団法人 日本内科学会
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