症例は42歳,男性.腹痛,大量の下痢の後,ショック状態となり入院.入院時PT10%,APTT180秒以上で著明な出血症状を認めた.臨床症状,凝固異常は翌日には自然に回復傾向を示したが,その後1年に渡り腹痛,下痢,凝固異常を発作的に繰り返した.診断に苦慮したが,血漿トリプターゼが198μg/
lと異常高値,骨髄検査にてc-kit陽性,CD2陽性の肥満細胞の集簇を認め,全身性肥満細胞症systemic mastocytosisと診断した.凝固異常,消化器症状は,肥満細胞からのヘパリンやセロトニンなどのメディエーターによる可能性が考えられた.
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