日本内科学会雑誌
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98 巻 , 1 号
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特集●炎症性腸疾患:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.炎症性腸疾患の概念・定義と疫学
II.炎症性腸疾患の病理・病態生理
  • 金井 隆典, 久松 理一, 渡辺 守, 日比 紀文
    2009 年 98 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    消化管は口腔から肛門まで約4メートルの長さがあり,粘膜表面上に分布する絨毛を広げるとテニスコート1.5面分の面積を有するといわれる巨大な臓器である.とりわけ,大腸・小腸が外界と接する面積は膨大で,しかもたった一層の円柱上皮細胞を隔てて大量の腸内細菌と共生している.にもかかわらず,健常生体は炎症惹起を恒常的に抑制し,免疫寛容状態を維持している.一方,ひとたび細菌性腸炎にみるように病原性細菌等が出現すると生体は瞬時に免疫系の活性化し,感染防御へと免疫系システムを大転換する.さらに,近年,急速に増加している炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease;IBD)はおそらく非病原性の腸内細菌に対して反応し,腸管免疫系の活性化に伴い発症する.すなわち,腸内細菌に対する免疫寛容状態の破綻と捉えることができる.この鍵を握るものとして,腸管特異的に免疫恒常性維持機構に関与する抑制性の免疫細胞が着目されている.本稿では,密接に関係する腸管免疫寛容とIBD発症との関連を近年明らかとされてきた腸管免疫細胞を中心に概説する.
  • 渡邊 秀平, 細川 雅代, 中垣 卓, 田中 浩紀, 有村 佳昭, 今井 浩三, 篠村 恭久
    2009 年 98 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,複数の環境・遺伝要因が関与する多因子疾患である.その原因は不明であるが,急速に発展したゲノム解析手段により,疾患感受性遺伝子の報告が盛んに行われている.IBDに関連を示す疾患関連領域(loci)はクローン病において同定された感受性遺伝子CARD15をはじめ,とくにクローン病を中心に次々と報告されている.疾患関連遺伝子を明らかにすることによりさらなる病態解明,新規治療法の開発が可能になると思われる.
  • 安藤 朗, 藤山 佳秀
    2009 年 98 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腸内細菌叢を標的とした持続的T細胞活性化が,炎症性腸疾患の病態形成において重要な役割をはたしている.しかし,腸内細菌の多くが難培養菌からなり,従来の培養法を用いた解析法ではその全容を捕らえることは困難であった.16SリボゾームRNA(DNA)を標的とした分子生物学的解析法の進歩により,ようやく腸内細菌叢の全容解析が可能となり,その変化が明らかになりつつある.ここでは,炎症性腸疾患の病因,病態における腸内細菌叢の役割について最近の知見を中心に述べる.
III.炎症性腸疾患の診断
  • 松井 敏幸
    2009 年 98 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)の両疾患は原因不明であるが「炎症性腸疾患」と称され,診断および診療手順が多岐にわたる.そこで,両疾患の診断と病型,重症度分類について概説した.UCの診断基準は厚生労働省班研究から報告されており,その有用性は変わらない.わが国のCDの診断基準は明快であり,さらに治療手順や治療効果を見るために多くの重症度指標や病型分類が作成され活用されている.実診療上,これらに対する理解は欠かせない.
  • 小林 清典, 横山 薫, 佐田 美和, 西元寺 克禮
    2009 年 98 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    病歴や臨床所見から潰瘍性大腸炎(UC)やCrohn病(CD)が疑われる場合は,確定診断のためにX線や内視鏡により消化管病変の評価を行う.UCでは,直腸から連続するびまん性炎症が特徴で多発する潰瘍やびらんを伴う.CDでは小腸や大腸を中心に非連続性病変を認め,縦走潰瘍や敷石像,狭窄,瘻孔などがみられる.なお不整形潰瘍やアフタのみの場合もあるが,その配列に縦列傾向があればCDの可能性が高い.両疾患を診断するうえで,X線や内視鏡所見の特徴を理解しておく必要がある.
  • 平田 一郎
    2009 年 98 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    IBD(UC,CD)と鑑別を要する主な炎症性腸疾患(広義)について,それら疾患の概要とIBDとの形態学的鑑別診断について述べた.UCとの鑑別を要する疾患として主にキャンピロバクター腸炎,アメーバ性大腸炎,出血性大腸炎,サルモネラ腸炎,NSAID腸炎(大腸炎型)などが挙げられる.CDとの鑑別を要する疾患として主に腸結核,腸管Behçet病,虚血性大腸炎,エルシニア腸炎,NSAID腸炎(潰瘍型)などが挙げられる.UCおよびCD両者との鑑別を要する疾患はCMV腸炎,アメーバ性大腸炎,腸管出血性大腸菌腸炎などである.
IV.潰瘍性大腸炎の管理・治療
  • 長堀 正和, 渡辺 守
    2009 年 98 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    5-アミノサリチル酸製剤は,軽症および中等症に対して内服,坐剤,注腸薬として投与される.無効例では副腎皮質ステロイド剤の内服,特に重症例では入院のうえ静脈投与が行われる.免疫抑制剤はステロイド無効例や離脱困難な症例に投与される.ステロイド静注療法の無効な重症例においては手術ではなく,シクロスポリンの持続静注療法が行われることもある.血球除去療法はステロイド不応例や投与困難例(骨粗鬆症合併例など)に対し,緩解導入目的にて広く行われている.
  • 鈴木 康夫
    2009 年 98 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    血球成分吸着除去療法(CAP)は,活動期潰瘍性大腸炎における新たな治療法としてステロイド抵抗症例の寛解導入を可能にすると同時にステロイドの減量も可能にすることが示されている.さらには,ステロイド投与を行わずCAP単独でも寛解導入を可能にすることが示され,副作用発現の危険性が高いステロイド投与を回避する治療法も可能になってきた.CAPの実施に際して症例の適応基準や運用方法を工夫することによって,有効性を一層向上させることが可能と思われた.
  • 緒方 晴彦, 日比 紀文
    2009 年 98 巻 1 号 p. 68-74
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に対する免疫抑制剤の歴史は1950~60年代のステロイドの登場にはじまり,1960~70年代からアザチオプリン,6-メルカプトプリンに代表されるチオプリン製剤がステロイド抵抗性の活動性病変,ステロイド減量,緩解維持目的に使用されるようになった.さらに1990年代前半にシクロスポリン,後半にはタクロリムスが潰瘍性大腸炎に対する治療法として登場し,多くの症例に使用されている.
  • 樋田 信幸, 松本 譽之
    2009 年 98 巻 1 号 p. 75-81
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)における大腸癌発生は予後を左右する重要な合併症である.癌および前癌状態とされるdysplasiaを早期に発見するために,定期的なsurveillance colonoscopy(SC)を行うことが推奨されている.現在,SCの方法はrandom biopsyからより効率的な狙撃生検に移行しつつあるが,今後さらなる検討を要する.UC長期経過症例が増えるに従い,本邦の癌化例は急増する可能性があり,有効なサーベイランス法の確立は重要な臨床課題である.
V.Crohn病の管理・治療
  • 古賀 秀樹, 松本 主之, 飯田 三雄
    2009 年 98 巻 1 号 p. 82-87
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Crohn病は原因不明で,外科的な対処を行っても再燃を繰り返し進行していく疾患であることから,内科的管理が治療戦略の中心となる.本邦では依然として栄養療法が主流ではあるが,抗TNF-α抗体療法の導入以来,薬物療法も普及している.新たな生物学的製剤,白血球除去療法,内視鏡的拡張術などにも期待が寄せられている.従来からの栄養療法と新しい薬物療法を上手く組み合わせて患者のQOL(quality of life)向上に努めなければならない.
  • 伊藤 裕章
    2009 年 98 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    Crohn病の病態では炎症性サイトカインが重要な役割を果たしている.抗体を用いてこれをブロックするCrohn病の新薬開発が始まった.最初に承認されたのが抗Tumor necrosis factor-α(TNF-α)抗体インフリキシマブである.欧米では他の抗TNF-α抗体も承認された.また他のサイトカインを標的にした新薬開発も行われている.これらの治療薬はCrohn病の自然史を変えられると期待されている.
  • 砂田 圭二郎, 西村 直之, 福島 寛美, 林 芳和, 新城 雅行, 矢野 智則, 宮田 知彦, 山本 博徳, 菅野 健太郎
    2009 年 98 巻 1 号 p. 94-103
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年ダブルバルーン内視鏡(double balloon enteroscopy;DBE)カプセル内視鏡(capsule endoscopy;CE)が開発され,全小腸の内視鏡観察が可能となった.DBEで観察されるCrohn病の小腸病変の特徴は,アフタ性潰瘍,類円形潰瘍,不整型潰瘍,縦走潰瘍などである.潰瘍は腸間膜付着側に偏在する傾向があり,他疾患との鑑別に役立つ.Crohn病は,その経過中に狭窄病変を引き起こすことが臨床的に大きな問題であるが,従来外科手術に頼らざるを得なかった小腸の狭窄に対しても,内視鏡的バルーン拡張術が行えるようになった.
VI.外科療法の最近の動向
  • 楠 正人, 荒木 俊光
    2009 年 98 巻 1 号 p. 104-109
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年の炎症性腸疾患に対する内科的治療の進歩は治療戦略に大きな変化をもたらしてきたが,いまだ手術療法が果たす役割は大きいものである.治療成績を向上させるためには手術の適応を的確に判断し,正しい術式を選択することが大切である.そして潰瘍性大腸炎では術後合併症が起こった場合でも機能温存を図ること,また,Crohn病では術後の再発予防を念頭に置いた治療戦略が今後重要となってくる.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 高山 哲治, 岡久 稔也, 岡村 誠介
    2009 年 98 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    大腸癌をめぐる最近の話題の一つは,過形成性ポリープ(あるいは鋸歯状腺腫)から発癌するというserrated pathwayの提唱である.すなわち,これらの病変の分子生物学的な解析が進み,従来発癌しないと考えられてきた過形成性病変の一部,特に右側結腸の大きい過形成性ポリープから発癌しうることが明らかにされつつある.もう一つの大腸癌をめぐる話題は,大腸癌に対する化学療法の進歩である.すなわち,oxaliplatin(L-OHP)などの新規抗癌剤の開発に加え,Vascular endothelial growth factor(VEGF)やEpidermal growth factor(EGF)受容体(EGFR)を標的とした新しい分指標的治療薬が開発された.特に,EGFRに対する単クローン抗体は,K-ras遺伝子変異の無い癌に有効であることが明らかとなり,これらの遺伝子異常を調べて治療を行う,いわゆる個別化医療の時代に入りつつある.
  • 中山 哲夫
    2009 年 98 巻 1 号 p. 159-166
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    麻疹ウイルスが分離されて50数年経過し分子生物学の進歩により麻疹ウイルス感染の分子機構が解明されつつある.麻疹ウイルスに感受性の高いB95a細胞が発見され野生株の分離が容易になり麻疹ウイルスreceptorがSLAM(signaling lymphocytic activation molecule;SLAM)であること,細胞融合,転写・複製機構の解明が進んできた.ワクチン接種の拡大により麻疹はコントロールされてきているが,我が国においては2007年に成人麻疹の増加が社会問題となり2008年からはCatch-up campaignが中学1年生,高校3年生を対象に始まり2012年麻疹排除を目指している.麻疹ウイルスの最近の知見と病態の解析,分子疫学等の知見を紹介する.
  • 松岡 博昭
    2009 年 98 巻 1 号 p. 167-172
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    日本高血圧学会では2004年に高血圧治療ガイドライン(JSH2004)を発行したが,ヨーロッパ高血圧学会と心臓病学会は2007年にガイドラインを発行している(ESH/ESC 2007).わが国においては2009年にガイドラインの発行(JSH2009)を目指して改訂作業が進行中である.最近のトピックスとして診断面においては原発性アルドステロン症がこれ迄の予想以上に多いとの報告がまず挙げられる.また,家庭血圧やABPMは白衣高血圧や仮面高血圧,早朝高血圧などの診断,あるいは過剰降圧や治療抵抗性高血圧の評価などに応用され,重要性を増している.治療面においては,超高齢者高血圧を対象とした大規模臨床試験をはじめ,わが国発の大規模臨床試験も数多く報告されている.ここではJSH2004の改訂のポイントになりそうな診断と治療に関する最近の知見について解説し,JSH2009の方向性について考えてみた.
専門医部会
診療指針と活用の実際
第32回北陸支部教育セミナー(第8回オープンカンファレンス)まとめ
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
シリーズ:一目瞭然! 目で見る症例
プライマリ・ケアにおける内科診療
総合内科専門医の育成のためにII
シリーズ:指導医のために
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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