日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
腎性貧血の機序と治療法
南学 正臣
著者情報
キーワード: 貧血, CKD, エリスロポエチン
ジャーナル フリー

2010 年 99 巻 1 号 p. 136-141

詳細
抄録
慢性腎臓病(CKD)患者では,eGFRが60ml/minをきるとエリスロポエチン産生不足による腎性貧血が起こりうる.腎性貧血は組織での低酸素状態の原因となり,Cardio-renal anemia syndromeを引き起こし,血管病変を中心とした全身の臓器障害を進行させ,またそれがCKDの進展を加速することから,その治療の重要性が注目されている.造血刺激薬erythropoiesis stimulating agents(ESA)による治療は多面的な臓器保護効果も期待できるが,様々な臨床研究の結果,現時点では透析前のCKD患者と腹膜透析患者ではHb 11~13g/dL,血液透析患者ではHb 10~12g/dLを目標にESAで治療することがよいとされている.注意すべきはESA治療抵抗性患者の存在で,そのような患者は根底に慢性炎症や酸化ストレスがある可能性があり,いたずらにESAを増量するのではなく,ESA治療抵抗性の原因を検索しそれに対処することが重要である.
著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top