わが国の心不全治療は新たな段階に入った.少子・高齢化社会を迎えて慢性心不全の治療目標を心事故予防から,それも包含した医療負担の軽減に切り替えるべき段階にきている.それには逆・抗リモデリングなど新しい観点を加えた集学的・集約的な心不全の発症・再発予防活動が欠かせない.特に,重症心不全の臨床ではこのことが強調される.さらにキュアを目指した追加療法,強化療法,先進療法ばかりでなく,ケアに徹した治療プランも呈示されるべきである.特に高齢者の重症例には段階を踏まえコンセンサスを得ながら展開する必要がある.