日本内科学会雑誌
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各種ホルモン剤の血漿脂肪量に及ぼす影響
荒井 進
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1961 年 49 巻 12 号 p. 1522-1536

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抄録

主要なる10種のホルモン剤を健常家兎に投與し,血漿脂質における変動を,総脂肪及び総コレステロール量につき12時間に亘り観察した.脂質の減少を来たすホルモンには,腦下垂体向性腺ホルモン, Insulin,甲状腺ホルモン, Cortisoae及び性ホルモン(Testosterone, Estrogen, Progesterone)があり,いずれも注射後4時間目に最低値に達し,水溶液性の製剤では,その後漸次脂質量の囘復が認められるが,効力持続性の懸濁液では, 4時間以後も引続きその最低量を維持する.血漿脂質を増加せしめるホルモンには, Adrenalin,腦下垂体後葉ホルモン及びACTHがあり, Adrenalinでは注射後20分で血漿脂質量は最高となり,その後次第に減少するが,この際コレステロールのみは3時間後まで高値を持続する点が特異的である.腦下垂体後葉ホルモンでは1時間後に最高となり, 4時間後に同復し, ACTHでは6時間後に最高値を示すが,その増加の途中において1~3時間目に一時上昇の停止が見られる.

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