日本内科学会雑誌
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糖尿病血管合併症いおける血清蛋白および脂質に関する研究
河村 真人
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1960 年 49 巻 3 号 p. 227-234

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抄録

最近糖尿病血管合併症の発生に対して,糖尿病代謝異常による血清蛋白,脂質,蛋白結合多糖類の異常との関係が論じられている.著者は当内科教室における104例の糖尿病患者について,血清蛋白,蛋白分劃,血清Cholesterol,燐脂質を測定し,これと血管合併症およびその促進因子とされる糖尿病controlとの関係について檢討した.血管合併症とくにAngiopathia diabeticaではα-globulinの増加がみられ,間時に測定した蛋白結合多糖類の成績と一致をみた。またβ-globulinの増加は血清脂質増加によるものと考えられ,定型的なネフローゼ症状を呈するKimmel-stiel-Wilson症候群ではalbumin減少とともに, β-globulin, cholesterol, β-lipoproteinの増加がみられたが,腎の針生檢によつてはじめて診断しえた例,および網膜変化のみをみとめる例(網膜症)ではさしたる増加はみられないことから,これらは腎傷害と関係するものと考えられる.control不良のものは血管合併症を発現する頻度が高いが,腎傷害等による影響を考慮してこれらを分離して檢討すると,非合併症群あいは合併症群で, control良不良による変化はみられなかつた。

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