抄録
眼球ないし頚動脈洞圧迫の臨床的応用が最近再評価されてきたが,健康者についての観察は案外少ない.わた〓しは健康青年(134名)の心に対するこれら反射性迷走神経作用を観察した.これらの成績を概括するとnegative chronotrophic effectはかなり高率に出現し,かつその個人差はきわめて大きい.それに比し伝導抑制効果はずつと少ない.さらに期外収縮その他の能動的異所刺激生成の出現は通常みられないが,圧迫停止後に期外収縮が出現することは稀でない. P変型はしばしばみられるが,洞房調律におけるQRSの変型はきわめて稀であり,また一次性のST, T変化はみられない,なお圧迫中に出現した房室性補充収縮が全例とも変行性伝播を示したことは,そのmechanismの上から興味深い.眼球圧迫の左右差は認められない.頚動脈洞圧迫の心電図効果は眼球圧迫のそれとくらべるとずつと少ない.