2, 4, 7-triamino-6-ghenylpteridine (TPPと略) (Triamteren)を浮腫性疾患および高血圧症に投与し,その臨床効果を検討し,とくに長期間投与とサイアザイド系薬物との併用例について観察した.本薬を,まず,単独で投与すれば,有効なNa利尿と水利尿作用を有し,尿中Kの排泄が抑制された.次に,サイアザイド薬との種々の組合せで投与することにより, Na利尿は増強し, K排泄には著変をみず,相殺的態度を示した.腎疾患および高血圧症に投与し,緩徐な利尿と降圧が認められ,単独短期投与(1カ月以内)で血清Kの上昇が認められたが,長期投与では上昇傾向あるも正常範囲の変動を示した.次に,サイアザイド薬との併用例では,利尿・降圧効果が増強し,血清Kの変動は単独例に比して少なく,血清Naは著明な低下を認めなかつた.長期間(約6カ月以上)の併用によつても,血清電解質は著しい異常値を示さなかつた.副作用としては, 150mg/日以上の投与例において,血清尿素窒素の上昇傾向,肝機能の軽度障害例がみられた.以上, TPPの臨床効果はサイアザイド薬との併用が合理的であつて,長期投与のさい,高血圧症では最小有効量の併用が望ましく,浮腫疾患では150mg/日以上のさい,肝・腎の機能に注意しつゝ使用すべきものと思われる.
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