日本内科学会雑誌
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長期間投与せる副腎皮質ステロイドの中絶後にみられた高カルシウム血発症
古川 洋太郎佐々木 爾大友 利夫高和 勉三輪 勣勝島 一郎渡部 直哉力丸 庄蔵鈴木 厚生関 敏克毛利 虎一斎藤 毅的場 直矢
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1968 年 57 巻 1 号 p. 105-112

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抄録
長期間副腎皮質ステロイドの投与をうけてきた患者がその服用を突然中絶すると,いわゆるsteroid withdrawal syndromeとよばれる急激な症状があらわれる.著者らは,皮膚疾患の治療のため10年間服用をつゞけた皮質ステロイドを中絶した結果steroid withdrawal syndromeをおこし,意識の混濁をきたした1例を報告する.その際,著明な高Ca血が発見された.急性の副腎不全が高Ca血の原因になることはすでに知られているが,この症例では同時に尿中への著しい燐排泄の増加が認あられ,副甲状腺機能亢進症との鑑別が問題になつた.諸症状は皮質ステロイドの再投与により改善されたが,血清Ca値と意識障害との間に相関がみられた.steroid withdrawalが高Ca血発症の原因となりうる可能性を,副甲状腺との関連において考察した.
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