1969 年 58 巻 1 号 p. 28-39
概要 K喪失状態における利尿薬投与に関連して種々の問題が残されている。著者はラットについて1週間のK欠乏飼育により, chlorothiazide (以下CT) 50mg/kg投与後のNa排泄増加が有意に促進される事実を観察した.一方K欠乏飼育下で糸球体からのNa濾過量が増加する成績はえられず,この現象は尿細管におけるNa再吸収抑制によることが推察された.さらにK欠乏飼育により, desoxycorticosterone acetate 250μg/kg投与時のNa貯留作用が増強される傾向をみとめた. また種々量のaldosteroneを投与した副腎摘出ラットにおいて, CTのNa排泄効果は体内aldosterone量の少ない場合に有意に増加することが観察された.以上の事実によりK欠乏飼育ラットにおけるCTのNa排泄促進現象は, K欠乏状態の結果招来されたhypoaldosteronismpによる二次的変化であると推定された.