日本内科学会雑誌
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Monoclonal gammopathyを伴つたT cell慢性リンパ性白血病の1例
本田 美代子古河 一男室川 論難波 経彦国府田 幸夫白井 達男
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1981 年 70 巻 1 号 p. 64-69

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抄録

T細胞性格を有する慢性リンパ性白血病の報告は少なく,加えてmonoclona1 gammopathyを伴つた症例はさらに希である.今回,われわれは50才,男性でIgG monoclonal gammopathyを伴い,免疫学的検索によりIgG Fcレセプター陽性T細胞性慢性リンパ性白血病の1例を経験した.本症の血清総蛋白は13.4g/dl, γ-gl 56.6%と増加し, B-J蛋白体陽性,免疫グロブリン定量においてIgGは10200mg/dlと増加し, κ型であることを確認した.末梢血液像では核型異常を伴うリンパ球を含め,リンパ球は78%と増加し,骨髄像においても低形成ながら62.4%と増加していた.免疫学的検査でEロゼット形成細胞が末梢血では96%,骨髄でも92%に認められた.臨床像ではリンパ節,肝,脾を触知せず, T細胞性白血病に高率に随伴する皮疹もなく,緩慢な経過をたどつている.本症のmonoclonal gammopathyについては免疫機構の調節をになうT細胞の腫瘍化がT細胞機能に異常を引きおこし,調節作用の破綻をきたしたためと考えられる.

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