日本内科学会雑誌
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ACTH単独欠損症4例の治療前後における下垂体前葉ホルモン分泌能
増戸 尚高田 一太郎見坊 隆徳弘 英生渡辺 斌
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1981 年 70 巻 1 号 p. 70-76

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抄録

ACTH単独欠損症を4例経験しhydrocortisoneによる治療前後に下垂体前葉ホルモンの分泌能を検索した.症例は男子3例(48才, 54才, 57才),女子1例(38才)であり,日本内分泌学会におよび日本内科学会関東地方会にて,それぞれ報告した症例である. TSHの基礎値は28.1±25.9μU/mlと高値で, TRH testでのpeak値は93.6±57.1μU/mlと過剰反応を呈した.治療後には基礎値, peak値ともに正常化した. PRLの基礎値は10.4ng/mlと正常であり, TRH testでのpeak値は59.7±32.5ng/mlとやや高値であつた.治療後もほぼ同様の値であつた. HGHの基礎値は2.0±0.8ng/mlと正常であり, ITTでのpeak値は15.3±5.5ng/mlとほぼ正常であつた.治療後には基礎値は正常であつたが, peak値は著明に増加した. LHの基礎値は16.8±4.0mIU/mlと正常で, LH-RH testでのpeak値は78.2±32.6mIU/mlと正常であつた.治療後には基礎値は同様であつたが, peak値は増加した. FSHの基礎値は8.5±4.2mIU/mlと正常であり, LH-RH testでのpeak値は16.8±9.0mIU/mlとほぼ正常であつた.治療後には基礎値, peak値ともに増加した.以上をまとめるとACTH単独欠損症ではTSHが高値でTRH testで過剰反応を呈し,治療後に正常化した. HGHは治療後にITTで高反応を呈した. PRLは治療前および治療後に過剰反応を呈する例がみられた. LH, FSHは治療後にLH-RH testでの反応が増加した.

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