日本内科学会雑誌
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家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症の2家系
八幡 和明田辺 恭彦山本 至広沢 秀夫百都 健伊藤 正毅柴田 昭
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1987 年 76 巻 1 号 p. 93-99

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抄録
2家系とも発端者は無症状で偶然高Ca血症を発見された.原発性副甲状腺機能亢進症などを疑つて検索したが,副甲状腺機能正常で腺腫も認めなかつた.尿中Ca排泄低値(Cca/Ccr<0.01)と家族性に高Ca血症を認めたことより本症と診断した.家系1では症例の両親ともに高Ca血症を認め, homozygoteであることが判明した.本症例とその兄の血清Ca値が,報告例よりも著明高値であることの原因がこのためであると推測された.また一般には臨床症状を欠如し予後良好とされる本症であるが,家系1の症例では心電図上QTcの短縮を認めた.以上,我々は本邦では比較的まれとされてきた本症の2家系を相次いで経験した.このことは本症がそれ程まれでない可能性を示唆した.
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