日本内科学会雑誌
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遺伝子診断
三田村 圭二
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1991 年 80 巻 4 号 p. 629-633

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抄録

分子生物学の進歩にともない,多くの疾患が遺伝子のレベルで解明されつつあり,遺伝子診断がなされている.遺伝子診断は核酸の塩基配列の相補性に基づいたハイブリダイゼーションにより目的核酸を検出する特異的DNA (DNAプローブ)を用いてなされることが多く, DNA診断とも表現されている.さらに,核酸の特定領域を増幅するPCR法を用いることにより遺伝子診断はより進歩している.対象は糖尿病などの多因子病を含め遺伝性疾患,悪性腫瘍,個人識別,法医学など広い分野にわたっている.また,寄生体の遺伝子にも適用され,感染症の臨床にも大いに役立っている.診断のみならず,予後の予測,治療方針の決定,治療効果の判定にも有用である.今後,一層の進歩がなされ,さらに遺伝子治療へと発展していくことが期待されている.

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