日本内科学会雑誌
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2.老人性骨粗鬆症
池田 恭治
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2005 年 94 巻 4 号 p. 632-636

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抄録

閉経後骨粗鬆症に比して,老人性骨粗鬆症の病因はほとんど理解されていない.加齢に伴うカルシウム恒常性の乱れに対する骨の代償反応,性ホルモン作用の低下,摂食行動やエネルギー代謝の変化,骨の細胞の加齢変化, I型コラーゲンに代表される骨基質タンパク質の変化などが病態に寄与すると考えられる.なかでも加齢に伴う腸管からのカルシウム吸収の低下と体内カルシウムバランスの負への傾きが重要で,荷重運動などの機械的刺激に加えて,カルシウムやビタミンDの適正な補充が推奨される.大腿骨頸部骨折の発生件数は,年々増加傾向にある.今後,生活習慣の啓蒙や,ビスフォスフォネート薬・ラロキシフェンなどの欧米並みの治療によって,骨折頻度と寝たきりがどの程度抑止できるか注目される.

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