日本内科学会雑誌
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肺胞蛋白症の病態と治療
渡辺 雅人中田 光
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2005 年 94 巻 4 号 p. 763-768

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抄録

肺胞蛋白症(Pulmonary alveolar proteinosis, PAP)は肺胞および呼吸細気管支内にサーファクタント(Surfactant, SF)が貯留する希な肺疾患である.臨床的には先天性,二次性,特発性に分類される.二次性は血液疾患や感染症に続発し,特発性は抗GM-CSF自己抗体により発症する. GM-CSF欠損マウスの研究により, GM-CSFシグナル異常,肺胞マクロファージの成熟障害,サーファクタントの代謝障害が主要な病態であることがわかった.また,特発性で出現する自己抗体は, GM-CSFを強力に中和しPAPを発症する.これらの研究より,肺におけるGM-CSFの重要な役割が明らかになった.治療として全肺洗浄が有効であるが,近年はGM-CSF療法が良好な成績をあげている.本稿では,肺内におけるGM-CSFの役割とPAPの病態,最近の治療法について概説する.

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