日本内科学会雑誌
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骨髄幹細胞移植による肝疾患の治療
沖田 極寺井 崇二坂井田 功
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2005 年 94 巻 4 号 p. 769-774

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抄録

骨髄には造血幹細胞が存在し白血病患者に対する骨髄移植によって患者の体内で一生に渡り血球細胞を供給することが可能である.骨髄移植は既に20年以上の実績を積んだ体性幹細胞を用いた再生医療である.最近になり男女間での骨髄移植の結果,骨髄由来の肝細胞,小腸細胞への分化が確認され,骨髄中に多分化能を持つ“骨髄由来幹細胞”の存在が考えられるようになった.すでに循環器領域では虚血性疾患に対して臨床応用として血管新生を誘導するために自己の骨髄細胞を患部に自家移植する試みがすでに行われてきた.我々は自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法を開発するため,どんな状況で骨髄細胞移植が有効であるかを検討し,持続肝障害が続く状態において骨髄細胞が肝再生誘導,肝線維化制御に役立つことを見出した.さらにそれらの基礎研究の結果を基盤とし,国内最初の臨床研究:自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法のPhasel研究を平成15年11月より開始し現在進行中である.

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