2005 年 94 巻 5 号 p. 973-978
ヒトゲノム解析が進み,個人個人の遺伝子解析による情報を遺伝医療の場で役立てていくことが可能となりつつある.そのためには,まず遺伝医学の基本を知ること,すなわちメンデル遺伝学を正確に理解することが不可欠である.遺伝子解析が可能となる以前の遺伝相談は,確率的な情報提供が中心であったが,遺伝子検査が可能な場合は,決定的な情報の提供が可能となっている.その意味で,遺伝子検査についての理解が必要である.まず,体細胞の遺伝子検査と生殖細胞系列の遺伝子検査を正確に区別する必要がある.次に,発端者における遺伝子検査と未発症血縁者に対する遺伝子検査の違いを理解しなければならない.また,生殖細胞系列の遺伝子検査は,その結果が本人のみでなく血縁者に大きな影響を及ぼすことを忘れてはならない.疾患の原因遺伝子は次々と見つかっているが,それが検査として継続的に提供されるシステムがない.そこで,現在存在するリソースを最大限に生かす必要があり,そのための情報源として「いでんネット」を整備した.積極的な活用をお願いしたい.