物性若手夏の学校テキスト
Online ISSN : 2758-2159
第68回物性若手夏の学校
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開放量子多体系の非平衡統計力学
*濱崎 立資
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p. 193-218

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抄録
平衡状態から遠く離れた系における統計力学の解明は、多彩な非平衡現象の統一的理解のために不可欠な未解決問題である。近年、冷却原子系をはじめとする人工量子系を用いて、量子多体系の非平衡状態を観測・制御する技術が発展した。これに触発され、ミクロな量子力学から非平衡統計力学を解明しようとする機運が高まっている。特に最近では、外界からの散逸を制御したり、所望の測定を行なったりすることさえも可能になっており、こうした開放量子多体系の非平衡ダイナミクスに関する研究が理論・実験両面で盛んになされている。 このような背景のもと、本集中ゼミでは、開放量子多体系の非平衡統計力学に関する基本的な事項と最近の進展について述べる。まず、測定下における量子多体系を実効的に記述する方程式(CPTP写像やLindblad方程式)を導出する。次に、これらの方程式に現れる超演算子をスペクトル分解し、得られる固有値や固有モードの意味を解説する。さらに、こうしたスペクトル分解により、緩和の時間スケールや量子コヒーレンスのダイナミクス、開放量子多体系における「量子カオス」などを議論できることを、最近の我々の研究も交えながら紹介する。時間があれば、測定結果に応じた開放量子系の記述、例えば非エルミートダイナミクスや量子トラジェクトリーのダイナミクスについても、近年の発展を踏まえつつ紹介したい。
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© 2024 濱崎 立資
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