名古屋文理大学紀要
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環インド洋地域経済圏の形成とその意義について(1) -IOR-ARCの設立を中心に-
須藤 裕之
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2002 年 2 巻 p. 35-47

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抄録

グローバリズムとその浸透は,世界経済とのより深い連結と経済ネットワークの十全化を各国経済に要求している.このことの緊要性は,対外経済交流抜きにはこれまでの経済発展を考えることができない東南アジア地域経済おいてまさに重要な意味をもっている.かつてのアジアNIEsがそうであったように,一方で先進地域経済との分業関係を前世紀同様,維持しながら,東南アジア諸国がその経済ネットワークの十全化の一環としてこれまで醸成させてきた生産力や技術力を背景に,南側諸国との貿易や経済協力を拡大する可能性は大いにある.本稿では,こうした視点から,環インド洋地域におけるアジア対アフリカ両地域経済交流の高まりとその意味について検討している.そこでは,主として貿易関係に焦点をあて,環インド洋という現時点では未知数に満ちた新たな地域経済圏の形成の可能性を検討する.その過程で,1997年に設立された環インド洋地域協力連合(IOR-ARC)設立の経緯と今後についても言及し,同地域経済圏形成の意義として,グローバリズムとリージョナリズムの共存を可能にする「地域経済圏の複層化」による「開かれた地域主義」という概念を提起する.

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© 2002 名古屋文理大学
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