名古屋文理短期大学紀要
Online ISSN : 2433-6548
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家事労働の軽減化による消費エネルギー量の見直し
鈴木 真由子江上 いすず國友 宏渉長谷川 昇
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1994 年 19 巻 p. 89-95

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抄録

近年,家事労働は軽減化したといわれている.その結果,専業主婦の身体活動量が低下し,それにみあった食生活に改善しなければエネルギー量の過剰摂取に陥ることは容易に予測される.そこで本研究の目的は,次の2点について明らかにすることにより,専業主婦の身体活動の低下の実態を探ることである.第1点は,専業主婦並びに有業主婦の摂取・消費エネルギー量について,両者の意識に違いがあるか否かを明らかにすることである.第2点は,専業主婦の1日当たりの摂取・消費エネルギー量のバランスについて検討することである.意識調査の結果,専業主婦は摂取面では過剰摂取の,消費面では低エネルギー消費の傾向を示した.摂取・消費エネルギー量の測定調査の結果,次のような事実が明らかとなった.①運動の有無にかかわらず摂取エネルギー量はほぼ一定であり,所要量(代表値)を上回っていた.②運動を実施した日はエネルギー摂取量と消費量のバランスがとれているが,運動を実施しなかった日は摂取が大きく上回った.これらの結果,身体活動量の低下している専業主婦の摂取エネルギー量の目安は,所要量の代表値ではなく,むしろ下限に設定する方が実情に即していることが明らかとなった.したがって,過剰摂取気味の食生活の改善とともに,エネルギー所要量の再検討も必要であると考える.

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© 1994 名古屋文理大学
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