名古屋文理短期大学紀要
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キーカレンシーとしてのドル・マルク・円
関川 靖
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1995 年 20 巻 p. 35-44

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抄録

1980年代から現在にいたるまで, 国際通貨システムの改革の必要性が盛んに唱えられてきた.この国際通貨システム改革を考察する主たる分析方法は, 固定相場制復帰・変動相場制維持・両者の折衷案, 金本位制復帰・人工的国際通貨の創出といった諸改革案のいづれが, 現実に最も妥当するかということと思われる.そして, 現在その有力候補は, 固定相場制と変動相場制の特徴を合わせ持つ両者折衷改革案であるターゲットゾーン案と言われている.これは, EUにおけるEMSが最も近似しており, EMSが成功に終われば他の地域でも実施されると考えられる.本論文では, この分析方法とは異なり, 現状分析を先行させ現在に於いてキーカレンシーの有無を分析した.このことからいかなる国際通貨システムが, 現在に於いて最も適当かを考察することにした.キーカレンシーの判断分析にあたって, 国際通貨の機能の充足性と国際通貨の資格を用いて分析した.その結果キーカレンシーの候補としては, ドル・マルク・円と考えられる.このことから, 現在国際通貨システム改革案として有力候補であるターゲットゾーン案とマッキノン案の3極通貨統合が, 現在に於いて最適な国際通貨システムと判断できる.そして更に, この両案を国際通貨システムの機能に関して比較考察することで, マッキノン案がベストであるという結論となった.

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© 1995 名古屋文理大学
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