名古屋文理短期大学紀要
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江戸期・明治期における伊藤次郎左衛門家の企業者活動
上田 實
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1995 年 20 巻 p. 45-54

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抄録

百貨店「松坂屋」は, 平成5年度の売上高4,594億円, 従業員7,797名, 10店舗を有する業界第4位, 我が国の代表的な百貨店である.江戸時代に創業して今なお百貨店として発展を続けているのは三越(創業1673)大丸(1717)高島屋(1831)松坂屋の僅か4店に過ぎない.なかでも松坂屋の歴史は最も古い.初代伊藤源左衛門祐道が慶長16年(1611)ささやかな呉服店を創業.爾来伊藤次郎左衛門家の家業として, 仏教の精神を経営理念とし, 御用商人として尾張藩主の愛顧をうけ, 緊密な主従関係, 信用と名声を得て発展して来た.明治時代に入って伊藤銀行を設立して経営に成功.地方財閥としての姿を整えた.小論では伊藤次郎左衛門家の家業について, 生成から明治期の地方財閥の形成に到るまでの, 当主の企業者活動を展望し, 連綿として維持・継続させた来たその要因を明らかにするものである.

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© 1995 名古屋文理大学
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