1998 年 23 巻 p. 33-40
医療サービスの提供において, 対人関係を効果的なものにするコミュニケーション技術の重要性が指摘されてきており, 共感的理解に基づくコミュニケーション技術の習得が医療スタッフに求められている.本稿では, 医療スタッフ(理学療法士・作業療法士)が患者やその家族とのかかわりにおいて対応が困難であると認知した場面を収集して分析し, また, こうした困難なコミュニケーション場面の認知と理解的態度習得の程度との関連性について検討を行なった.その結果, 認知された困難なコミュニケーション場面には日常の職務に即応したさまざまなケースがあること, それらのうちのいくつかはマニュアル的に対処することも可能であるが, 根本的には共感的理解に裏付けられた理解的態度で対応することが問題の解決に向わせる方策であることが示された.また, 理学療法士・作業療法士において, 看護職員以上に共感的理解の習得が進んでいることが示唆された.