咀嚼筋(咬筋と側頭筋前部)の活動度と咀嚼能力の関係を調べた.女子大生(19〜20歳)126人を対象として, 咀嚼能力を咀嚼能力測定ガムで測定した結果, 咀嚼能力が強い群が18名, 咀嚼能力が標準の群が92名, 咀嚼能力が弱い群が16名であった.各群の咀嚼筋の活動度を皮膚温の上昇度として把握した.皮膚温はサーミスター温度計で測定した.皮膚温の測定部位は, 咬筋中央部(左右)と側頭筋前部(左右)の合計4ヶ所とした.皮膚温測定中の咀嚼は, 咀嚼ガムを用い, 各自の一定のリズムで10分間咀嚼させた.その結果咀嚼能力が強い群は, 普通群や弱い群に比べて皮膚温の上昇度が有意に高いことがわかった.したがって, 咀嚼能力が強い群ほど咀嚼筋の活動が高く, 咀嚼能力が低い群ほど咀嚼筋の活動が低いことが判明した.