抄録
【目的】申告飲水が多飲傾向を示す統合失調症患者の水分摂取行動および精神状態に与える影響を検討する.
【患者紹介】50歳代男性.統合失調症により長期入院中で,精神状態の悪化時に被害妄想や感情失禁,支離滅裂な言動を呈し,多量の水分を蛇口から摂取し,著明な体重変動と低ナトリウム血症を繰り返していた.
【看護の実際】詰所で氷水を申告制で提供し,体重変動率,血清Na値,飲水量の変化を評価した.導入初期は安定していたが,その後に精神状態が悪化し,飲水要求の増加とともにスタッフの対応に戸惑いや判断のばらつきがみられた.
【考察】申告飲水は短期的には多飲管理に有効であったが,継続には精神症状への対応とケア方針の統一が重要である.