熱帯農業研究
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原著論文
ガーナ内陸低湿地で水田水利施設を補強するために植栽する被覆植物に求められる特性
團 晴行沖 陽子廣内 慎司
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2018 年 11 巻 2 号 p. 53-59

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抄録

稲作の生産性を向上させる一つの方策として天水稲作から灌漑稲作への転換があることから,ガーナ内陸低湿地では水田開発が進められてきた.しかしながら,日常的に生じる激しい降雨や維持管理不足などの理由により,水田水利施設が機能を満足に発揮していない状況にある.本報では,被覆植物を活用した水田水利施設の補強技術を実施するに先立ち,「被覆植物に求められる特性」をリスト化し整理した.加えて,水田水利施設の全ての部位に共通し,かつ,本研究で重視した,「被覆性」に関する試験結果による評価を例示した.植被率試験では,土壌条件別に判定項目を作成した上で,4種の供試植物の植被率を測定し,細礫含量,土壌硬度および体積含水率が異なる3つの生育環境下における導入植物としての適合性を判定した.栽培試験では,葉面積指数(LAI)の算定により供試植物の生育量を把握することができた.さらに,植栽後,重要となる除草など植生管理作業の適切な時期や頻度について考察した.葉緑素量では,年間を通じた供試植物のSPAD値から,LAIの結果と同様の傾向を追認することができた.これらの研究結果は,農家が補強技術を導入する際に判断材料となり得る.

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© 2018 日本熱帯農業学会
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