熱帯農業研究
Online ISSN : 2187-2414
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11 巻, 2 号
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原著論文
  • 澤岻 哲也, 安次 富厚, 新崎 千江美, 大城 篤, 田場 聡
    2018 年11 巻2 号 p. 43-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

    マンゴー軸腐病および炭疽病に有効な薬剤による共通防除体系の確立を目的に,病原菌に対する登録薬剤の感受性とマンゴー生育期における数種薬剤を組み合わせた体系散布の防除効果について検討した.軸腐病菌Lasiodiplodia theobromaeおよび2種炭疽病菌Colletotrichum siamenseC. fioriniaeの分生子発芽および菌糸伸長に対する10種登録薬剤の感受性を調べた結果,マンゼブ水和剤,アゾキシストロビンフロアブル,クレソキシムメチルドライフロアブル,塩基性硫酸銅水和剤,キャプタン水和剤の5薬剤で高い抑制効果が認められた.一方,メパニピリムフロアブル,イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤,トリフルミゾール水和剤では軸腐病菌に対して抑制作用は認められず,イプロジオン水和剤,メパニピリムフロアブル,トリフルミゾール水和剤およびイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤では,2種炭疽病菌の分生子発芽において菌種間で著しい感受性の差異が認められた.2012~2014年に出蕾期または開花期から収穫前(袋かけ前)にかけて,in vitroで各病原菌に高い抗菌活性を示した5薬剤を組み合わせた体系散布を2圃場で実施したところ,いずれの年においても両病害の収穫後の果実において,安定した防除効果が認められた.また,体系散布による果実の薬害は,2013年試験において3.2%の発生がみられたが,2012年と2014年には認められなかった.3ヵ年5試験事例のメタ・アナリシス解析では,体系散布区の両病害の発生は無散布区に比べて有意に減少し,軸腐病では無散布区の発病率の約24%,炭疽病では無散布区の発病率の約23%にまで抑制された.以上の結果より,本体系散布はマンゴー軸腐病および炭疽病の防除法として有効であると考えられた.

  • 團 晴行, 沖 陽子, 廣内 慎司
    2018 年11 巻2 号 p. 53-59
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

    稲作の生産性を向上させる一つの方策として天水稲作から灌漑稲作への転換があることから,ガーナ内陸低湿地では水田開発が進められてきた.しかしながら,日常的に生じる激しい降雨や維持管理不足などの理由により,水田水利施設が機能を満足に発揮していない状況にある.本報では,被覆植物を活用した水田水利施設の補強技術を実施するに先立ち,「被覆植物に求められる特性」をリスト化し整理した.加えて,水田水利施設の全ての部位に共通し,かつ,本研究で重視した,「被覆性」に関する試験結果による評価を例示した.植被率試験では,土壌条件別に判定項目を作成した上で,4種の供試植物の植被率を測定し,細礫含量,土壌硬度および体積含水率が異なる3つの生育環境下における導入植物としての適合性を判定した.栽培試験では,葉面積指数(LAI)の算定により供試植物の生育量を把握することができた.さらに,植栽後,重要となる除草など植生管理作業の適切な時期や頻度について考察した.葉緑素量では,年間を通じた供試植物のSPAD値から,LAIの結果と同様の傾向を追認することができた.これらの研究結果は,農家が補強技術を導入する際に判断材料となり得る.

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