2023 年 16 巻 1 号 p. 6-13
本研究では,タンカン‘垂水1号’若齢樹における冬季の落葉,樹の生育,果実の収量および品質に及ぼす台木の影響を調査した.台木には,キャリゾシトレンジ(キャリゾと略す),サツマキコク(サツマと略す),スイングルシトロメロ(スイングルと略す)およびカラタチを用いた.冬季の落葉は,キャリゾ台,サツマ台およびスイングル台ではカラタチ台よりも少なかった.春枝長および春葉の葉面積は,キャリゾ台,サツマ台およびスイングル台ではカラタチ台よりも大きい傾向であった.樹齢8年生時には,カラタチ台に比べて,サツマ台およびスイングル台では,樹冠容積が大きく,収量が高い傾向が認められた.カラタチ台に比べて,キャリゾ台,サツマ台およびスイングル台では,平均果実重は大きく,L級・2L級果実割合は高かった.糖度はカラタチ台に比べて,キャリゾ台,サツマ台およびスイングル台では低い傾向であったが,2017年にはキャリゾ台およびスイングル台では11°を超えた.以上のように,キャリゾ台,サツマ台およびスイングル台では,冬季の落葉が改善された.また,それらの台木では,樹の生育,収量がカラタチ台よりも優れる傾向が認められるなど,若齢樹における各台木の特性が明らかとなった.