ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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チオール変性ランダム型シルセスキオキサンとN-アリルマレイミド共重合体のチオール-エン反応による耐熱透明ポリマー材料の設計
山本 紘希鈴木 祥仁松本 章一
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2021 年 42 巻 4 号 p. 139-150

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抄録

メルカプト基を含むランダム型シルセスキオキサンとN-アリルマレイミド共重合体間のチオール-エン反応を利用して有機無機ハイブリッド材料を作製した。まず,クロロホルム中60 ℃でN-アリルマレイミド,N-2- エチルヘキシルマレイミドおよびジイソブテンの組み合わせからなる3 元ラジカル共重合,あるいはN-アリルマレイミドとアクリル酸2- エチルヘキシルの組み合わせからなる2 元ラジカル共重合を行い,繰り返し構造ならびにアリル含量が異なるN-アリルマレイミド共重合体を合成した。続いて,イソシアヌル酸トリアリルの存在下,チオール変性ランダム型シルセスキオキサンを架橋剤として用いて,さまざまな反応条件で上記共重合体の熱硬化を行い,IR 分光法によってアリル基およびメルカプト基の反応の進行状況を追跡した。得られた有機無機ハイブリッドポリマー材料の熱的特性ならびに光学特性を評価し,いずれも優れた耐熱性と透明性を示すことを確認した。さらに,これら熱硬化系の仕込み組成中のアリル基とメルカプト基の比率や共重合体中のアリル基含有量が熱硬化物の機械特性に及ぼす影響の詳細を明らかにした。

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