2022 年 43 巻 6 号 p. 246-252
架橋後のフェノール樹脂の構造-物性相関を解明するため,全原子分子動力学シミュレーションを用いた分析を検討した。架橋フェノール樹脂は現実の化学反応を模した疑似架橋反応により構築し,化学構造,分子量,構造因子関数を比較することで得られた構造の妥当性を確認した。得られた架橋樹脂について一軸伸長変形を施し,小ひずみ領域における弾性特性発現メカニズムの解析,大変形領域におけるネットワーク破壊挙動の解析を行った。また,フェノール樹脂中に侵入したメタノール分子のダイナミクス分析を行い,中性子準弾性散乱法より推定されるメタノールの拡散係数および拡散モードの比較検討を行った。