ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
43 巻, 6 号
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報文
総説
  • 小池 常夫
    専門分野: 総説
    2022 年 43 巻 6 号 p. 262-274
    発行日: 2022/11/10
    公開日: 2023/01/11
    ジャーナル 認証あり

    前報21)に続いて,本稿ではイミダゾリウム塩系イオン液体に関する論文を,エポキシ樹脂の硬化機構,および多機能特性を持つエポキシ樹脂硬化剤という観点からレビューした。最も広く受け入れられている硬化機構は,イミダゾリウム塩の脱アルキル化後に生成されるイミダゾール誘導体によるエポキシ樹脂のアニオン重合反応に基づいていて,脱アルキル化の程度は主にアニオン種の性質に依存している。この脱アルキル化に加えて,Nヘテロ環状カルベンの形成がエポキシ樹脂硬化プロセスに関与しているという提案もなされている。イミダゾリウム塩系イオン液体は,強く凝集したCNT の効果的な分散剤にもなり,このイオン液体によって十分に分散された単層CNT は,エポキシ樹脂/CNT 複合材料の導電性パーコレーション閾値を劇的に低下させることが報告されている。地球温暖化防止の一環として,CO2 回収のために検討されているアミン末端イミダゾリウム塩系イオン液体は,エポキシ樹脂の硬化やCNT 表面処理に適用できる可能性がある。

解説
  • 藤田 明, 林 正道, 糸谷 一男, 松浦 圭介, 山本 広志
    専門分野: 解説
    2022 年 43 巻 6 号 p. 275-282
    発行日: 2022/11/10
    公開日: 2023/01/11
    ジャーナル 認証あり

    近年,種々の電子デバイスにおいてモジュール製品の小型化,高集積化,高性能化が著しく進展している。それに伴い内部で発生する熱量は増加の一途をたどっており、それらに用いられる部材には高放熱化が求められている。本稿では熱伝導フィラーの1種であるアルミナに着目して形状制御した特殊形状多面体アルミナの開発とそれを用いた高熱伝導シートへの応用について報告する。AlN,BN は高熱伝導フィラーとして積極的に検討されているが,化学的安定性や高充填性に課題があり,また市場が拡大されつつある10 W/mK クラスのシートへの使用はコストな面でも課題となっている。そこでアルミナの高性能化を検討し,特殊形状多面体アルミナを開発した。開発した多面体アルミナを用いてシートへの応用を検討し,放熱シートに要求される一般的な特性を達成した。また熱伝導率は従来の球状アルミナ使用のシートに比べ高くなり10 W/mK を達成した。このことからコストダウンの観点で工業的課題に貢献できることが期待できる。

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