2023 年 44 巻 3 号 p. 120-128
スギ(針葉樹)およびユーカリ(広葉樹)から得られたソーダAQ 蒸解リグニンを用いて,ノボラック型フェノール樹脂原料としての適用性を検討した。ソーダAQ 蒸解リグニンのアセトン抽出物に,フェノール樹脂の硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)を配合して熱硬化性評価を行った結果,ユーカリ由来リグニンよりもスギ由来リグニンの方が熱硬化反応性に優れることが確認された。それらソーダAQ 蒸解リグニンのアセトン抽出物を用いてノボラック型リグニン変性フェノール樹脂を合成し,圧縮成形による成形材料評価を行った結果,スギ由来リグニンが成形材料特性面でも優位であることが確認された。さらにアセトン未抽出のスギ由来ソーダAQ 蒸解リグニン用いて,既存の石油由来フェノール樹脂と同等の成形性を有するリグニン変性フェノール樹脂を合成し,トランスファー成形による成形材料評価を行った結果,耐熱分解性の面では及ばないものの石油由来フェノール樹脂を超える機械的特性や耐熱特性が得られることが明らかになった。