ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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トリフェニルホスフィンスルフィド部位を有する 芳香族ポリチオエーテルの合成と誘電特性
一二三 遼祐冨田 育義
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2024 年 45 巻 3 号 p. 143-

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抄録

低遅延・低損失な通信・信号処理を実現するための要素技術として,低誘電絶縁材料に高い関心が集まっている。本研究では,トリフェニルホスフィンスルフィド部位を有する芳香族ポリチオエーテルの誘電特性を検討した。P=S 基含有芳香族ポリチオエーテルの誘電特性(誘電率:ε,誘電正接:tanδ)はε=3.15 およびtanδ=0.0045であり,構造の対応するP=O 基含有ポリチオエーテル(ε=3.29 およびtanδ=0.0065)よりは低誘電特性であったが,P=S 基含有ポリエーテル(ε=2.99 およびtanδ=0.0038)には劣る結果であった。これらの結果はそれぞれ,P=S 基がP=O 基に比べて低極性であり原子/配向分極成分が低減されたこと,ならびに,チオエーテルがエーテルに比べて(極性は低いと期待されるものの)大きな電子分極成分を有することに由来すると考えられる。

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